楽天・三木谷浩史が推し進めた英語公用化、その顛末とは

三木谷浩史さんが創業した大企業「楽天」。

楽天においては、社内の改革を厭わない、IT企業らしい先進的な風土があります。
しかしそれらの改革の中でも、2012年7月から実施された「楽天社内での英語公用化」は、ビジネス界の枠を越えた大きなニュースとなりました。

この英語公用化を実施した手応えについて、楽天の会長兼社長、三木谷浩史さんはこう語っています。

いや、もうこれがなかったら、たぶん今の地位にはいないと思います。売り上げもどんどん伸びていますし、国際的なプレゼンスも上がってきていますし、入社する社員のクオリティも非常に上がってきています。社員の視野もまったく変わってきている。

http://toyokeizai.net/…

「企業が社内の英語教育に力を入れる」と聞くと、「事業の海外進出」がまず思い浮かぶ人も多いのではないでしょうか。

日本の実業家の中には、「うちの会社は海外進出などせず、日本国内で事業を展開していくのだから、英語力は必要ない」と断ずる人も少なからずいるようです。
しかし、企業内の英語に関するリテラシーを向上させることは、事業を海外へ展開する際に役立つという以外にも、大きな意義があります。

その意義の一つとして、「英語圏のビジネスモデルやノウハウを、社内に取り込みやすくなる」ということが挙げられます。

特にIT分野において、先進のビジネスモデルやノウハウは、常に英語圏が最先端です。
それらの情報が日本語に翻訳され、英語ができない日本企業の経営陣や技術者の手元にもたらされるころには、それらの情報は「最先端」ではなくなっている──そんなことも珍しくはありません。
社内の英語教育を強化することにより、企業としてだけでなく、社員の一人一人が、そうした最先端の情報を得やすくなるわけです。

また、社内に英語文化が根付くことにより、海外の優秀な人材を採用する土壌ができあがります。

日本において、コンピュータサイエンスについて専門に学んでいる人の数は、わずか数万人です。
しかし海外に目を向けてみれば、数十万、数百万というエンジニアが存在します。
日本国内でわずかな数の専門家を奪い合うより、国外から優秀な人材を雇ったほうが、優位性を確立できることは間違いないでしょう。

2年間は猶予を与える。2年後に英語ができない執行役員はみんなクビです。

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三木谷さんの楽天社内における英語公用化の影響は、役員にまで及んでいます。

例えどれだけ優秀で、どれだけ仕事ができて、どれだけ重要な役職に就いていたとしても、定められた期限までに英語が話せるようにならなかったら、クビにする──。
非情とも言える、徹底した姿勢を見せています。

しかし楽天としても、ただ社員に負担を押し付けているわけではありません。
社内に英語を学ぶことのできるクラスを設置し、業務中の受講を認める措置をとったり、英会話スクールや英語教材の費用を負担するなど、積極的なサポートを行っています。

こうした三木谷さんの努力の結果、いまや楽天社内での会議の8割以上が英語で行われ、社員のTOEIC平均点も著しい向上を見せているようです。

楽天が社内の英語公用化を発表したとき、どちらかといえば、その方向性に疑問を呈する見方のほうが多かったように感じます。

しかし、英語公用化が浸透した現在の楽天が、社内の統制に混乱をきたしていたり、企業間の競争力を失っているようには思えません。

遠くない将来、日本の企業が英語公用化を採用することが珍しくない、という時代がやってくるのかもしれません。

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